ボタン1つでふんわりとした盛付けを実現! ご飯盛付けロボットFuwarica 開発ストーリー
「人間が盛ったご飯より美味しい! 」
そんな声をいただくこともあるのが、当社の「ご飯盛付けロボットFuwarica」です。
2003年に発売され、20年以上も愛されてきたFuwaricaは、日本はもちろん、世界各国の丼チェーン店や飲食店、ホテル・ビュッフェなどで活躍し、現在は世界シェアNo.1(※)のご飯盛付けロボットにまで成長しました。
世界中の飲食店でなくてはならない存在となったFuwaricaは、どのようにして開発されたのか?
その開発秘話を、当時開発チームのメンバーだった山田二郎、井上英司郎、長谷川実、小峰淳の4人に聞きました。
※出典:富士経済「2025年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 サービスロボット編」米飯盛り付けロボット 販売数量・金額2024年実績
開発の原点は「誰でもどんな場所でもおいしいご飯を食べてもらいたい」という創業者の強い想い
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Fuwarica初号機開発チームの一員だった山田、井上、長谷川、小峰
ご飯盛付けロボットFuwaricaは、ご飯を練らずにやさしくほぐし、ボタンを押すだけで定量のご飯をふんわり衛生的に盛付けるロボットです。その基礎研究が始まったのは、2000年の頃でした。
当時、当社は“米飯主食文化を世界へ”というビジョンのもと、世界初のシャリ玉ロボットをはじめ、のり巻きロボットやお櫃型ロボットなど、様々な米飯加工ロボットを開発していました。
ロボットというと、省人化やコスト削減をイメージしがちですが、当社が創業当時から機械において重視しているのは「おいしさ」です。当社のロボットには全て、「まだ日本食に馴染みのない世界の人々にも、米飯の「おいしさ」を届けたい」という想いが通底しています。
そんな中、当社創業者である鈴木喜作氏の「誰でもどんな場所でもおいしいご飯を食べてもらいたい」という想いから生まれたのが、ご飯盛付けロボットFuwaricaでした。
“ご飯をふんわりおいしく盛る”という作業は、簡単そうに見えて実は、当時も今も変わらず技術が必要な作業です。例えば、ご飯をよそい慣れていない人は、ご飯をほぐさずによそったり、よそう時に茶碗に押し付けて潰してしまうことがあります。そうやってよそわれたご飯は潰れていて硬く、米粒一粒一粒が立っていない為、お米のおいしさを感じにくくなってしまいます。また、丼もののご飯が潰れていると、具材のツユが染み込みにくくなってしまいます。特に日本食に馴染みの薄い海外の方にとってご飯をふんわりおいしく盛付けることは大変難しい作業です。
鈴木喜作氏の「誰でもどんな場所でもおいしいご飯を食べてもらいたい」という想いと、「ご飯をふんわりおいしくよそう事の難しさ」に着目した先見の明により、ご飯盛付けロボットの開発が始まったのです。
耐熱性やご飯のふんわり感。これまでとは全く異なる条件に立ちはだかる壁
ただ、これまでとは全く異なる環境で使われることが前提となるご飯盛付けロボットの開発には多くの障害が立ちはだかりました。
当社の主力製品である寿司ロボットが扱う酢飯は約40℃程度ですが、ご飯盛付けロボットが扱うのは約90℃以上の熱々のご飯(白飯)。寿司ロボットよりも機械に求められる耐熱性が格段に高くなりました。また、ご飯が高温であるために発生する結露は、機械の制御部に入れば故障の原因にもなり得ます。
さらに、ターゲットとなる店舗は24時間営業。24時間機械を使えることが前提となる為、機械にかかる負荷は、主に回転寿司やスーパーマーケットで使用されてきた寿司ロボットよりも過酷です。当時寿司ロボットで使っていた樹脂素材では耐熱性が十分ではなく、長時間熱々のご飯を入れ続けるとすぐに部品が茶色く変色し痛んでしまいました。そのため、Fuwaricaの部品に使用する樹脂素材を一から見直す必要がありました。
それに加えて、機械でご飯をふんわり盛付ける為には、いかにご飯にダメージを与えず、練らずに送り出せるかが重要です。この時のことを、当時の開発メンバーだった小峰は以下のように振り返ります。
「実際に、何度も何度も機械でご飯を盛り付ける検証を行いました。機械で送り出していたご飯が練って機械が動かなくなってしまうこともあり、大変苦労したことを覚えています」
「時には、機械がご飯に与えるダメージを調べる為、盛り付けたご飯を一粒一粒確認し、破砕米となっていないか調べることもありました。検証の度に、素材を見直したり、機械構造や部品形状を作り直してブラッシュアップしてきました」
こういった苦労の末に採用された素材や構造は、Fuwarica初号機発売から約20年経った今でも、最新のFuwaricaシリーズで採用されています。猛スピードで開発されたご飯盛付けロボットはすぐに金型化されることが決まりました。
しかし、当時小型のご飯盛付けロボットはほとんど市場に出回っておらず、売れるかどうか見通しがない状況。そういった状況で莫大な費用をかけて金型化するのはやはり不安があったと山田は言います。
「今考えると、当時の経営層はFuwaricaを必要とする市場はある!という確信を持っていたのだと思います。実際、金型化することで機械のイメージを払拭するシンプルでスマートな外観となり、他社にない魅力となりました」
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Fuwarica初号機開発時のスケッチ
ようやく完成したFuwaricaは、ご飯をパラパラとほぐし、しゃもじを使用した手盛りのご飯では難しいふんわりとした盛付けを実現しました。創業者の鈴木喜作氏はFuwaricaでご飯を盛付ける様子を「まるで粉雪のようだ」と表現しています。
さらに、ふんわりした盛付けは見た目がおいしそうなだけでなく、丼のツユが染み込みやすいという更なるメリットを生み出し、機械化による品質の低下どころか、最終消費者の満足度を向上させる大きな強みになりました。これは省人化を目的とするだけにとどまらず、最終消費者へお米のおいしさを届ける当社のビジョンとも一致しています。まさに当社らしいと言える機械が誕生したのです。
お客様の声に応えた細やかなブラッシュアップが、ご飯盛付けロボット普及のカギに
完成したご飯盛付けロボットは、当初はシャリ弁ロボと名付けられ、2003年の展示会で華々しくお披露目となりました。![]()
しかし、シャリ弁ロボはすぐにはヒット商品になりませんでした。
「当時、当社で金型化した機械は2製品目で、成形部品に関する経験が浅く、ほとんど初心者でした。その為、成形部品の構造自体が壊れやすかったのです」
開発メンバーの長谷川は、当時の苦労をそのように語ります。同じく開発メンバーの山田も、
「今だから笑って話せますが、実は展示会の翌日にはフタのヒンジが壊れるといったアクシデントもあったんですよ」
と振り返りました。さらに、実際にお客様の店舗でシャリ弁ロボを使ってもらったところ、新たな課題が幾つも出てきました。
「大変でしたが、営業部門が徹底的にお客様の声を集めて開発チームに共有し、開発チームは明らかになった課題を一つ一つ着実に解決していきました」
と、井上は当時の資料を見ながら振り返ります。
「ご飯盛付けロボットを初めて見るお客様も多く、実現が非常に難しい要望もありましたが、一方で、機械フタを横開きにしたいなどといった、現在でもよくいただく要望もありました」
その後、開発チームと営業部門のたゆまぬ努力により、お客様のご要望に応え続けた結果、「しゃもじが100円なのに、そんな高級な機械を購入する理由がない」と仰っていたお客様にも、徐々にFuwaricaの良さを理解していただけるようになりました。
その後、飲食大手チェーン店に導入が決まると、加速度的にFuwaricaの導入台数は伸びていきます。
2010年、Fuawaricaは第35回発明大賞にて発明功労賞を受賞。
2011年には文部科学大臣表彰の科学技術賞を受賞しました。
いずれの賞も、「ボタンを押すだけで、誰でも簡単に、おいしくふっくらとしたご飯を素早く定量で盛付けられること」と、「これまでにない小型且つ軽量の機械であり、飲食店や小売り店舗、社員食堂や介護施設等、あらゆる場所で使用できることで、外食産業の発展に貢献している」という理由で高く評価いただきました。
2020年には、より沢山の人たちに愛される製品となることを願って、当社のご飯盛付けロボットの名称は「シャリ弁ロボ」から「Fuwarica」へと変わりました。「ふんわり」とご飯を出し、「おかわり」を素早く提供するという2つの単語をミックスし、呼びやすく覚えやすい名前になったのです。
Fuwaricaが世界シェアNo.1(※)のご飯盛付けロボットに!
2025年現在、Fuwaricaシリーズはご飯盛り付けロボットとして、日本市場、世界市場ともにシェアNo.1(※)を獲得しています。その活躍シーンは、丼チェーンや飲食店はもちろん、ホテルや病院、社員食堂や保育園にまで広がっており、当社創業者である鈴木喜作氏の「誰でもどんな場所でもおいしいご飯を食べてもらいたい」という想いは、確かに実を結びつつあります。
また、Fuwaricaシリーズのラインナップも、お客様の声に応えて拡充し続けています。多種多様なお客様の環境やオペレーションに合わせてご提案ができるようになったのも、Fuwaricaシリーズの強みと言えるでしょう。

当社は、これからもFuwaricaシリーズを通じて多様なお客様のご飯提供シーンのニーズに応え、世界中の人々に「おいしい」や「温かい」を届けます。
※出典:富士経済「2025年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 サービスロボット編」米飯盛り付けロボット 販売数量・金額2024年実績
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